


中古車販売の情報誌・サイトや中古車販売店に掲載されている車両情報として、修復歴あり/なしの表記がされていますが、ではこの修復歴の範囲は一体どこからどこまでの状態を指しているのでしょうか?
そこで今回は、修復歴車の定義・修復歴車の見分け方・買取価格への影響・愛車が修復歴車になった場合の予備知識などをご紹介します!
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事故を起こしても事故車じゃない!?その定義とは?



あなたは、事故車の定義と聞かれて説明できますか?
では、例えばあなたが以下の事故を起こしてしまった場合、愛車が事故車になるのか否か考えてみてください🚗
- 駐車場に入れるため5㎞のスピードでバックしていたが、視界が悪く壁にぶつけバンパーが少し凹んだ
- 狭い道を走行中に対向車が来たので幅寄せをしたら、壁にドアミラーがぶつかり根元から折れた
- 年数が経ち塗装が劣化してきたので、好きな色に全塗装(オールペン)し直した
- 石が飛んできてフロントガラスが割れた
あなたの答えはいかがでしたか?
実はこれらの事故は、全て事故車扱いにはならないのです!

事故車扱いかどうかは、ディーラーや中古車販売店など店舗によって変わるものではなく、日本自動車査定協会・日本中古自動車販売協会連合会・自動車公正取引協議会などが統一基準として定義付けしているんです。
この事故車の定義付けというのは、車の骨組みとされるパーツに修復が必要とされる場合のことを指していて、修復を受けた車のことを修復歴車と呼ばれるようになります。

修復歴に影響する骨組みって具体的に車のどこのパーツ?

では修復歴に影響される車のパーツを、具体的にご紹介しますね📢
修復歴の判断基準に関わるパーツとは車輌の骨格部分、つまりフレームやシャーシーなど車の強度に左右する重要な部分となります。
この強度を保つために、世界中で走っている自動車のほとんどは、モノコック構造と呼ばれる製法で作られているんですよ🌏

このモノコック構造の特徴としては、パーツ全体の組み合わせで丈夫な車体を築く構造になっています!
モノコック構造を簡単なイラストで表すと、以下のような線と点で繋がっている構造となり、メリットとしては軽量で衝突時のエネルギー吸収に優れるところと言えます!
その反面、パーツ全体の組み合わせで強度が保たれているので、ある方向から衝撃を受けると、連鎖的に車両全体に影響して変形してしまうデメリットもあるんです🚗

例えば、衝突事故によりフロントフレームの一部分が破損する事故車があるとします。※右上イラスト
もしそのフロントフレームを見た目上で完全に修復したとしても、衝突エネルギーにより車体全体が歪んでしまっている可能性が高いので、事故を起こす前の状態に100%戻すことは非常に困難と言えます🔧
そんな修復歴車で実際に走行してみると、まっすぐ走行できなかったり、乗り心地が悪かったり、ドアを閉めても隙間ができたりなどの不具合が出てくるケースも多々あります。

だからこそ、車業界では事故車=修復歴車とされ、フレーム以外のドアパネル交換や板金塗装などは、事故車扱いにはならないということなんです!
ではそんな重要な車のフレームですが、社団法人日本自動車査定協会が定義している修復歴判断基準は以下となります🏬
修復歴及びフレームの基本定義
以下のパーツに損傷があるもの、もしくは修復されているものは修復歴となります。
ただ、骨格は溶接接合されている部分だけとし、ネジ止め部分は骨格とみなされません。

No, | パーツ名称 | 修復の度合い |
---|---|---|
1 | フレーム | 交換も修正も修復歴車となる |
2 | クロスメンバー | |
3 | インサイドパネル | |
4 | ピラー | |
5 | ダッシュパネル | |
6 | ルーフパネル | |
7 | フロア | |
8 | トランクフロア | |
9 | ラジエータコアサポート | 交換は修復歴車扱いになるが、フレーム修正なら修復歴車扱いにはならない |
※社団法人日本自動車査定協会より

素人でも修復歴のある車を見分けることはできるのか?


そこでぇ〜、私の車は中古車屋さんで約10年前に購入したのですが〜、修復歴車かどうか見ることはできるのでしょうか〜?

前段のモノコック構造をご紹介した時に、衝突エネルギーを吸収しやすく見た目上キレイに修復できたとしても、車全体のフレームがミリ単位で歪む特徴があるので、修復前の状態に戻すことは困難とお伝えしました。
でもこの特徴を逆手に取れば、車に素人の方でも修復歴の疑わしい部分を、ある程度見分けることが可能になります🔎

通常、新車で車が出荷される場合、外装の各パーツの隙間は必ず均一に組まれて生産されています。
でももしその各パーツの隙間にズレ・歪みが生じていたとすれば、フレームに何らかの原因で歪みが発生している可能性が考えられ、その原因の一つとしてフレームの修復が行われた可能性が疑えるということです。

またさらに、中古車市場に出回っている修復車の中で最も多いのがフロント部分の欠損🚙
その次に多いのが、貰い事故によるリア部分の欠損となるので、フロント・リア部分を重点的に歪みチェックするようにしてください!
また、出荷された当初の車のボルト類なども新品同様の無傷ですが、何かしら修理をする際に必ずキズが付きます。
特に事故の時は、フロント・テールライトが割れて交換する確率が高いので、ヘッドライト・フォグライト・テールライトなどを止めているボルトにキズがないか確認し、気になれば販売店に連絡して事実確認をしてみてください📲

修復歴車を査定した場合の買取価格への影響はどれ程下がる?


では修復歴が付く前後の車で、買取価格にどれ程影響してくるのかというと、修復歴がある車は修復歴がない車に対して平均70〜80%の査定額が目安となります。
つまり、修復歴が付く前の車であれば100万円の査定額だったものが、約70〜80万円になってしまうということです💰
もちろん修復箇所・パーツ、修理方法や修復範囲などによっても査定額は前後するので、あくまでも参考値として捉えておきましょう。
また、修復歴が最も査定額に影響する特徴は、購入年数の浅い車です🚗
車の査定額というは、購入から経過年数が少なければ少ないほど高額査定になりやすいので、修復歴があれば相対的に査定額の差が大きくなってしまいます。
また余談ですが、中古車買取業者で査定に来る営業マンは査定士の資格を持っていないケースもあり、修復歴車の定義すら知らないなんてことも…😥
もしそういった買取業者に当たってしまって、さらに買取依頼をお願いした本人も修復歴車の定義のことを知らなければ、買取業者に「ドア交換しているので事故車になります。」なんて言われて査定額を下げられた場合、みすみす本来の愛車の評価を下げてしまうことに繋がります。
あなたが車を買う時・売る時に損しないよう、修復歴車の定義を大まかで良いので、理解しておくことをオススメします💡

貰い事故で修復歴車になる場合には事故減価格証明書を必ず請求


前段でもご紹介した通りあなたの愛車が修復歴車となれば、査定額に大きな損失が生まれることは理解できたと思います📝
そんな中、もしあなたの愛車が貰い事故を起こされて修復歴車になってしまった場合、見た目上の修理は加害者の保険で補償されると思いますがが、愛車を売却する時に車両本体の査定金額が下がり損(評価損)する可能性があります。
そこで、貰い事故であなたに非がない場合は、必ず事故減価額証明書を請求するようにしてください📄
事故減価格証明書とはJAAI(日本中古自動車査定協会)が発行する証明書で、事故歴車となった車を査定し、事故によりどのくらい価値が下がったのかを証明してくれる書類となります。
査定は全国にあるJAAIの支部で受けることにより発行してもらうことができますし、出張査定も別途手数料を払えば可能です。
査定の手数料は車のサイズによって異なりますが、約5,400〜14,148円です。
ただ、任意の対物賠償保険の範囲は基本的に修理費用までとなっており、評価損が補償されるとしたら以下の条件が認定基準の目安となります。
- 新車登録から6ヶ月以内
- 走行距離3,000㎞以内
- フレーム部分に損傷
ただ、加害者の保険会社の言いなりになってしまったら、損するのはあなたです。
できる範囲で示談してみた方が得策で、こちらが評価損を証明できる書類として事故減価格証明書を取ることが説得材料となります!
またJAAIの査定は事故減価格証明書の発行以外にも、愛車の適正価格が知りたい時・買取業者の査定評価が適正か確認する時・個人間の自動車売買の時などの評価軸として活用することもできます📋

購入した中古車が修復歴車だった場合の返金は可能?



事故歴(フレームに支障無い事故)とは違って修復歴は、購入者に開示する義務があります。
もし購入後に修復歴が発覚したということであれば、販売店側の落ち度となるので自分の権利を主張しましょう!
さらに可能であれば事故減価格証明書を準備し、それでも販売店側が責任を認めない場合には裁判での主張となります。
そうなった場合には、被害者の権利として下記が主張できます。
- 民法第95条 錯誤による無効:修復歴が未表示で、購入者が知らずに契約
- 民法第96条 詐欺による取消し:販売業者が修復歴を故意に隠ぺい
- 消費者契約法第4条第1項第1号 不実告知:販売業者が修復歴がないとしていたら
また消費者契約法の場合、書面を発行した時点より時効は5年で、その事実を発見してから6ヶ月以内に申告する必要があります。

修復歴車と分かっていて買取業者に伝えないのは告知義務違反


逆に私たちのような車の売り手側も、修復歴があることを知っていながら買取業者に伝えないことは、告知義務違反となります。
売却時に交わす契約書には買取査定規約の記載があり、売り手側が事故歴を把握している場合には申告する義務があると書かれているはずで、後日もし不備が発覚した場合には、事後減額要求できる規約になっているので、素直に申告した方が気持ち良い取引ができますよ🚗


事故車と修復歴車の違いと判断基準まとめ



事故車と修復歴車の解釈は間違いやすいですが、一度理解してしまえば難しいことはありません。
むしろ一度理解してしまえば、愛車を売る時や中古車を購入する時など、あなたの損失を減らすことに繋がりますよ💡
また、どの程度の事故から修復歴が付くんでしょうか〜?